インターネットのか細い糸だけで結ばれた,地球全体に散らばった数千人の開発者たちが,片手間にハッキングするだけで,超一流のOSが魔法みたいに編み出されてしまう。本書のタイトルである伽藍とは,一番大事なソフト(OSやイーマックスのような大規模なツール)が伽藍のように組み立てられる開発形式から来ている。一方,バザールは,Linuxコミュニティーを指し,さまざまな作業やアプローチが渦巻く,バザールに似ているためだ。
バザール方式のLinuxを例に上手なシステム開発の方法を探る論文「伽藍とバザール」,フリーソフト・オープンソースの開発者のコミュニティー論「ノウアスフィアの開墾」,フリーソフトやオープンソースの経済論「魔法のおなべ」が収録されている。
本書の訳・解説を担当した山形浩生氏が,エリック・スティーブン・レイモンドに行ったインタビューも収録されており,内容の濃い一冊である。 (ブックレビュー社)
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訳者解説にも少し書かれているが、最近、本書を叩き台にしたと思われるボランティア論などが社会学・福祉学の分野で現れはじめている。
その手の本の中には本書の縮小生産や誤読のような内容のものまである。そのような本に翻弄されないためにも、まずは本書を読んで、Linuxを作り上げたハッカーたちが何に価値を見出しているのか、また、オープンソースの意義が何なのかをきっちりと確認しておくべきだろう。
書店や図書館の「コンピュータ」の棚だけに配架されているのは実に惜しい内容なので、社会学や福祉学などを学ぶ人にもおすすめしたいと思う。
何故オープンソースソフトは商用ソフトと同等かそれ以上の性能と安定性を持つに到ったのか?
オープンソースが世界中でこれほど騒がれる原因は何か?
オープンソースって何だかわからないがどんなものか知りたい人や、オープンソースの知識を更に深めたい人は是非読んで頂きたい。多くの疑問を解決してくれるはずだ。オープンソースを初めて深く考察した論文にして、以上にないほどわかり易い解説書でもあるのだから。
ハッカーらしい砕けた文体と、作者自身のオープンソースソフト作成の実体験を例に織り交ぜながら解説を進めるのでとても読みやすくそして判り易い。コンピュータの知識がない人でも翻訳者解説を読めばある程度理解できるようにしてあるのも好感が持てる。
後ろの章辺りに未完成感があるのは否めないが、純粋に「オープンソース」について知りたいのであれば全く問題はない。
たまに間違った知識や概念で他人にオープンソースを紹介している人を見ることがある。是非ともこの本を読んで正しいオープンソースの知識を身に付けてもらいたいものだ。
オープンソースが従来の代表的な考え方とされていたものとどのように異なるのか。ではその違いが起因するものはなにか。そもそも従来のパッケージソフトウェア販売にはどのような了解のものとでビジネスが成り立っていたのか。そして、最終的にはオープンソースの位置付けはどうなるのか、経済的に見てどのような長所・短所を含んでいるのか。
通読すればオープンソースを、構造的、社会的、経済的に見る基盤も持てる。
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