天才建築家ル・コルビジュがアメリカに招待され(ニューヨークの近代美術館が招聘元)、数ヶ月滞在したさいに訪ねた地域の建築や芸術を中心にした旅行記的なエッセイ集。主としてニューヨークはマンハッタンの摩天楼を中心に分析された都市論をその中心にしているが、彼の視線はヨーロッパ大陸と新大陸アメリカの両方を較べながら、詩的なインスピレーションとスケッチを織り込んでおり、読みすすめるたびに刺激される。
本書は後にレム・コールハースの『錯乱のニューヨーク』に比肩する以上に芸術家肌の文体で、創造の源泉を感じさせる。その一方で、アメリカ文化の特異性をヨーロッパとして比較して描き出しており、慧眼な観察に読者は瞠目するであろう。建築を中心にしながらも、卓抜なアメリカ論でもあり、鋭利で詩的な文章がル・コルビジュの創造の源泉であることを明かした1冊。何度読み返しても刺激される文章が、散乱していて、どこを読んでも面白いが、そのライト・モチーフのように繰り返される書名「伽藍が白かったとき」が意味するものを理解するための詩的想像力をかき立てられるが、それが本書のカタルシスかもしれない。再読の楽しみとマンハッタンの不易な性格を描きつくしている。