虫屋でなく分子生物学者の書いた本であったため手に取った。
擬態の分子メカニズムについては、形態形成遺伝子の研究により紋様に関するメカニズムの一端がほんの少し垣間見えた段階にある。しかし、昆虫が何故あれほど精巧に蘭の花や木の葉に似せられるのかなどはまだ手がかりすらない状況にある。
ただ、面白い話題はたくさんある。
.ハナカミキリは、小さなときはカメムシに、脱皮を繰り返すたびに花に近づいていく。
.カギシロスジアオシャクの幼虫は、コナラの芽に擬態するが身を守ってくれた芽を最終的には食べてしまう。
.ミラーボールのようにまわりの背景を映し出す究極のカムフラージュをするチョウの蛹がいる。
.ショウジョウバエの眼とヒトの目は機能は似通っていても進化的にはなんの関連もない。にも拘らず同じ遺伝子で目を形成している。
情報をやり取りしている現象には必ず「擬態」が存在する。五感の全てにおいて起こりうる。分子レベルにおいても。人間においても。
猛暑の中の一服の清涼剤としていい。