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この本は実際に著者がインタビューした旧東の人たちの証言に基づいて書かれているので彼らの葛藤が生々しく伝わってきます。
ここにいたるまでの心の紆余曲折、彼らの苦悩、半ば諦めにもにた挫折感がひしひしと感じられました。
旧東ドイツの人たちの、統一から数年を経た証言というのは一読の価値があると思います。
そういう意味では大変読み応えのある内容でした。
ただ、ところどころで筆者の個人的価値観というか、社会批判が好ましくない言葉(人をあからさまに「ばか」よばわりするなど)で強く現れていることがあり、読んでいて不快に感じるところが気になりました。
自分の著書で考えを述べるのは間違いではありませんが、表現が適切であるかというとかなり疑問を持ちます。
なので星の数はきびしめに三つとさせていただきました。
単なるドイツファンにはショッキングな内容かもしれないが、社会の現実はどこの国でもバラ色ではありえない。著者が意図的に資本主義・社会主義をいうことばを避けているのは明らかであり(その理由を示して欲しかった)、その代替のキーワードになっているのは個人主義と集団主義と思われる。たとえば集団主義という観点からみると、当時の東独が日本社会に似ているというのは非常に興味深い指摘である。
また、元特派員によって書かれたルポルタージュと異なって、類型的なジャーナリスティックなスタイルでない点が好ましい。
私が気になったのは、ドイツ人が再びナチ化するか?という項です。(どんな題だったかは忘れました。)ナチ化するか否かはともかく、ユダヤ人について全く触れられてないところがおかしいです。人種というより宗教の問題であり、ヨーロッパ全土にかかわる問題ですが、ドイツ社会にイスラエルまたはユダヤ人から”必要以上に”圧力をかけられてることを、ドイツに滞在してた著者なら知ってるはずです。
たとえば、ネオナチの若者によってトルコ人の家が焼かれて、トルコ政府が抗議をするのは分かりますが、イスラエル政府からも抗議があるというのは、ドイツ人にとっては納得できないでしょう。
そういった社会的背景を踏まえず、ただ単にドイツ人の人種コンプレックスや人種差別などといったものが、ネオナチの原因つまりドイツ人の再ナチ化というのは話が飛びすぎます。
ヒトラーが成功したのは、周辺諸国やバチカンが黙認してたからというのは常識です。人種をテーマにするなら、それくらい遡って丁寧に探らないと単なる人種差別主義ドイツ人で語られてしまい、大変失礼です。
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