最近はポップなJ-POPを聴く機会が多く、そんなにこのDVDを見るわけではないが、今夜久々に見て
激しく感動したので、ちょっと衝動的にレビューを書いてみた。
山口百恵が活動したのは約8年にすぎないが、デビュー当初は声量も音程も音楽的声域も飛び抜けた
歌手ではなかった。しかし、彼女はもの凄い努力の末、このファイナルライブのときには、優に
3オクターブを超える声域と圧倒的な声量と揺るぎの無い音程で歌えるようになっていた。
私は「歌は人なり」という信念を持っているが、MCで見せる(聞かせる)彼女の極めて落ち着いた
優しく丁寧な話しぶりを聞くと、若干21歳ながら、このように素晴らしい歌唱が出来るのは
彼女の完成された大人の人格からして当然とも思えてしまう。
連続歌唱でも揺るがない音程と発声のメリハリ、一曲の中で歌詞の世界を見事に物語として昇華させる
歌い手としての技量など過去にも現在にも彼女に匹敵する歌手は、あの偉大な美空ひばりしかいないだろう。
収録曲の歌唱はどれも素晴らしいが、特に"曼珠沙華"での巧みな声の使い分けと低音域の音程の安定感、
男性歌手以上の高い呼気圧を利した声量と女の情念の艶やかな表現。
"秋桜"での母への想いを綴る緻密かつ感動的な歌唱には泣かされてしまう。
今の薄っぺらい何を歌っているのか、歌詞カードなしでは分からないJ-POPシンガーとは
到底比較にならぬ圧倒的な歌唱力と人間・山口百恵の魅力が凝縮された傑作盤である。