「フェラーリと鉄瓶」の次に本書を読みましたが、前作が口語調で思いつくままに語るような印象だったのに比べ、本書は著者の主張の土台となる理論がより綿密に組み立てられていて、より鮮烈な内容になっています。アメリカ、ドイツ、イタリアと比較した日本人論は経験に裏打ちされた重みがあり、自分自身の少ない経験からも的を得た内容と感じました。前作で海外で働いていた時の著者自身のことを「肉食動物に囲まれた草食動物」と評していましたが、肉食動物に食われないために、自分の立ち位置や特質を冷静に考え実行できた、稀有な「草食動物」といえるでしょう。著者の示す日本の進む方向は、新規なものではなく、むしろ伝統的な日本のやり方を現代に甦らせる点で、受け入れやすくはありますが、実行するためには著者のような逆輸入の「黒船」があと数隻は必要かも。しかし、混迷する日本のこの時期に著者のような傑出した人が出てきたということは、日本が「維新前夜」にある象徴かもしれません。