本の副題は「受け手を動かす言葉の技術。」ですが
期待とは裏腹にいつになっても技術の話にはなりません。
そればかりか上から目線の文章に、著者への不信感が増していきます。
そして極めつけが30ページの体験談です。
飛行機内で、著者の真後ろには親子が座っていたそうです。
父親は5歳ぐらいの娘に絵本を読み聞かせているだけですが著者は腹をたてます。
一言二言やりとりがあり、父親に社会性がないことを指摘された著者は
「オマエ、アホだろ」
つづけて、「言葉の通じないヤツに対して、使える言葉はないからな。」と。
このエピソードの一体どこに、言葉の技術があるというのでしょうか?
貴重な本のページをさいてまでなぜこんな体験談を載せなければならなかったのでしょう?
また、日常会話の例文がリアルさに欠けているように思います。
例えば、A「昨日のスマスマ見た?」B「見たよ〜やっぱりキムラクンよね」
このような日常会話は一体どんな世代が、どんな人たちが話しているというのでしょうか。
若い女性の会話はこんなものだろう、という著者の思い込みによるもののような気がしてなりません。
リアルでないものを検証するのはいかがなものでしょうか。
本の装丁は売れっ子アートディレクターの水野学氏ですが、あとがきにあたる「終わりに。感謝。」の部分では
「水野(呼び捨て)。オマエは自分の仕事としてではなく、この本のためでもなく、ただひたすらオレのために
この装丁をやってくれたんだと思う。ありがとう。借りができた。」
このように、(呼び捨て)のような(かっこ)を使う文章が本全体の中で目立ちます。
(かっこ)の文で内容を強調したり補ったりというのは分かるのですが
本文と(かっこ)の文がどう繋がっているのかわからないものが多いような気がします。
もしかしたら身内にはわかることなのかもしれませんが、読者としてはとても混乱します。
なか見!検索と目次ではとても惹かれた本でした。
期待していたものとのギャップがありすぎました……星一つです。