著者が長年座長や委員として関わってきた審議会のメカニズムが解き明かされます。合意形成に至るメカニズムについては「政治学」、事務局の果たす役割については「行政学」、審議会の外部なかんずくマスコミとの関わりについては「社会学」と言う章名を与えられています。
審議会の組織から答申に至るまで投じられるヒト・時間等の莫大なコストにやはり目が行きます。審議を円滑に進めるための多数派工作、時に「てにをは」まで突っ込んでくる一部委員対策のために莫大な資料作りを強いられることもある事務局、腹の探りあいも兼ねた省庁をあげて行う委員への「ご説明」…。諮問する官庁の「隠れ蓑」としての性格も否定できないとしながらも、著者が審議会の存在意義を全否定しないのは、政治勢力が直接ぶつかり合う議会では達成されることの難しい専門的見地からする慎重な議論とより妥当な解が期待できるからです。ただ、限られた時間で答申を出さねばならないという前提があるため、先ほどに見たような「運営術」が編み出される必然があるわけです。
議論運営の効率化と実質的な議論、この時として背反することもある両者を両立させるための制度作りが必須となりますが、本書では今後の課題とされています。しかし、審議会の外部にいる我々が公開された議事情報やマスコミ経由情報から審議の流れや内容をまず読み解くことも、制度をより良いものに変える一歩となるのではないか、取り分け「社会学」の章を読んでその感を強くしました。