本書は良書である。
ただし、経理情報については専門知識が必要としてあえて解説を省いているので、いわゆる財務分析を突っ込んで学びたいというニーズには応えない。
「そもそも有価証券報告書はどうやって手に入れることができるのか?」といったところから丁寧に解説がされており、
有価証券報告書になじみがない、あるいは不慣れと感じているような読者層に特に有用だろう。
具体的に本書の優れている点は以下の3点。
(1)短時間で読みとおせる
本書は189ページだが、非常に読みやすい文体で、かつスムーズに読み進めるための様々なビジュアルの工夫が施されている。
初心者でもおよそ3時間もあれば読み終えられるだろう。
(2)理解しやすい
財務会計の知識はほとんどなくても本書のほぼ大半は理解できよう。
ごくごく稀に数式を使う部分があるが、それに対しても非常に分かりやすい補足解説があり、挫折しないように十分配慮されている。
また、有価証券報告書のインターネットからのダウンロードの仕方の解説なども、一つ一つの手順が極めて丁寧に解説されており、筆者の努力が感じられる。
(3)具体的である
本書は有価報告書の各部分について、着眼すべきポイントを解説したあと、必ず2つの企業の実例を用いてそれを確認する形式がとられている。
その際、実際の有価証券報告書が図表として掲載され、注目すべき箇所にはハイライト+コメント挿入の配慮がある。
これにより筆者がいわんとするポイントが具体的に理解できるだろう。
あえて欠点としてあげるなら、より突っ込んだ解説を希望する読者への次なる文献等が示されていないことだろう。