経営者の考えとしては御手洗、丹羽両氏ともに立派だと思う。キヤノン、伊藤忠両社の業績も好調で、言行一致とも思える。
しかし、昨今のキヤノンでの偽装請負の問題をあわせて考えるとなんともむなしい気持ちになる。
経団連会長企業となったキヤノン。注目度があがるとともに、負の部分もクローズアップされている。昨今の偽装請負問題はその代表的なものだろう。商社とは違い、ある面労働集約的な面がある製造業で国内雇用にこだわり、かつ終身雇用を維持しようとするときに、その解決策としての一方策は偽装請負によるコストダウンだったのだろうか。国内雇用を守るために、その周辺に偽装請負や長期にわたる非正社員待遇の作業者という問題がでたのだろうか。キヤノンの社員でない非正社員にはキヤノンの終身雇用、新家族主義は及ばないのだろうか。
本書を読むと、人間は口ではどこまでも立派なことを言えるし、ある側面を見るとその言葉どおり華やかな実績を残すことができる。しかし、陳腐な言葉だが、光があるところには影がある。
最後に。御手洗会長は「社員」の自慢話を聞くのが好きだという。非正社員を駆使してコストダウンを果たした社員が満面の笑みをうかべ、その功を嬉々として御手洗氏に報告する場面を妄想して暗澹たる気分になった。