楠木新さんは今現役の会社員だということですが、ある機関誌を読んでどうしても読んでみたいと感じた著者でありました。
実父の死。そして阪神淡路大震災のご経験からある日突然うつ症状に悩まされ、そしてうつ病の悪化を経験してきた詳細が本著に記載されています。
楠木さんが選んだ道。それは 「会社は辞めずに平社員(同然)として残りの会社とのつき合い方を決めた」こと。ここに楠木さんの生き様が結集されていると感じました。
得てして「元の自分に戻ろう」とする願望に揺らぐことがあると思います。またそれが出来ないと理解した時には何らかの転身を図ろうとするのも理解出来る道と察します。けれども著者、楠木さんは会社に残りながら平社員でいる、こうした道を進みつつ関西の大学非常勤講師といった別の役割を作り上げて心のバランスを保たれている。ここに楠木さんの進んだ道の素晴らしさを感じ取りました。
「心の定年」という言葉を著者は発しておられます。頷ける部分も多々あります。従来の立ち位置に戻ろうとせずに敢えて別の生き方を探り出し「いい顔」になる事を目指した楠木さんに大きな共感を感じました。他の本と併せても本著の主張は一貫性があり、より優れた説得力を持っていると思われます。お薦めします。