雪深い会津と太陽の国・薩摩。
蛤御門の変では同じ立場に立ちながら、三年後の戊辰戦争では何故、
薩摩は会津を攻めたのか。
薩摩と長州は、海による結びつきがあった。海と共に、結びつける
坂本龍馬という人もいた。実直そのものの教えが日常にあった会津
だからこそ、坂本龍馬のような人物は入り込めなかったのだろう。
それが不幸ともいえる。会津は孤立していた、そう思う。
幕末の主要人物は、自分の写真を多く残している。その中で、唯一、
写真が残っていないのは、暗殺を恐れた西郷だけだ。この事実
ひとつ取っても、西郷のしたたかさがよく分かる。駆け引きが
日常茶飯事のようにあった薩摩、長州のように多くの逸材を散らす
ことなく、輝ける明治維新を掴み取る。その影で、追いやられていく
会津の哀愁を、強気の長州の背後にいて薩摩は気掛かりだったと思う。
その薩摩の思いが本書を通じて伝わってくる、そして、その流れを、
主要人物の紹介も交えて、的確に解き明かしてくれている。
西南の役で西郷を攻めることになる、歴史の輪廻。
顔の見えない西郷は、得体の知れない怪物にも思えて、会津の
誠実さが胸に迫った。
装丁からして物語っているようで、ドラマティックだ。
思わず松平容保を連想してしまうような上品ではかなげな紫、
帯の赤は、さながら西郷の情熱か。
あとがきには、「歴史とは、相手を知ることでもある」とある。
その歴史を本書で学べた。