同著者の戦国歴史ものとしては3冊目。ちなみに前2作は、同じシリーズから出ている『真田一族』、『上杉謙信』です。真田、上杉と著者の興味も北上し、ついに“奥州の覇王”伊達政宗にまで到達。その姿勢は一貫して「当時の時代感覚・常識」を尊重。読者の眼前に、独眼龍政宗や策略家秀吉が、さながら同時代人のごとく浮かび上がるのが圧巻であります。「伊達者」の由来や遣欧使節団の背景、さらには第1次伊達騒動と政宗の尊皇思想の関係など、政宗をめぐる謎を解く手際も鮮やかで、まさに良質の歴史ミステリーを読み終えた感じ。政宗に仮託して、日本史における「東北」とは何か、を考えさせてくれる独創的な歴史書でもあります。(といっても、少しもムズカシイところはなく、政宗の凶悍ぶりを「その男、凶暴につき」なんて評する茶目っ気もあります。)このまま北上して、次は北海道史と榎本武揚なんかを取り上げてくれるとウレシイ。