伊達政宗の小姓であった木村宇右衛門が実際に書き記した
「木村宇右衛門覚書」を丁寧に訳し、読み解いているのが本書である。
己の死期を悟り、最期の参勤交代を行った政宗。
そこには仙台藩祖としての最期の勤めを果たそうとする
当主としての姿があり、
己の死後の仙台藩と伊達家の安泰を願う強い思いが伺えます。
本書は側近であった小姓の克明な記録が元になっているため、
政宗の刻一刻と悪化する病状も記されており、
戦国武将としては珍しい詳細な臨床記録にもなっています。
そんな中で、跡継ぎである息子忠宗がやせ衰えた政宗の
足首をさする姿や、残される正妻愛姫への最期の贈り物を選び、
2.3日したら会えますよ、と言い残して亡くなる姿や、
将軍家光がお忍びで見舞いに来てくれた事に感動して落涙する
姿などむき出しの人間政宗の姿が涙を誘います。
政宗は破天荒なエピソードも多く、
二次創作もさかんですが、何も創作しなくても本人が
残した書状や実際の記録から伺える姿こそが最も魅力的で
あると思います。
傍若無人で豪胆でしかし繊細で不器用なその姿は、
きっと周囲の人を困らせることもあっただろうけれど、
何故か許されて愛される不思議な魅力があったのだろうと
思われます。
政宗が好きな人も、または嫌っている人にも
是非読んで頂きたいと思います。