故伊藤計劃の原稿集第二版。
虐殺器官、ハーモニーが連続で文庫化され、本屋で絶賛平積みになる伊藤計劃ブームの流れもこれで打ち止めだろう。どうしようもなく、もはや新しい原稿は書かれないのだから。
全て(たぶん)が発表済の原稿ばかり。そして自分にとっても多くが既読。
何せ、彼のblogはまだ生きているのだから。http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/
本書冒頭に収録されている短編2本は初見だったけども、正直に言って「虐殺器官」又は「From nothing with love」のキレと比較すれば一段落ちる。
氏が遺したWeb上の文章を集成するというこの企画の第一弾「伊藤計劃記録」は、「世界、蛮族、ボク」「屍者の帝国」という飛び道具を収録していただけに、かつ豊富な映画評によって読み物としても高いレベルにあったと思うけども、
第2弾たる本書は正直、読書の対象としての読み応えには若干欠ける。
しかしそれを補って有り余るのが氏の闘病記録。
blogに綴られる彼の不自由な日常と、その中でも必死に映画と物語に生きる糧を求める様は、直視に努力を要する程に生々しい。
去年発売のSFアンソロ「ぼくの、マシン」の中で、氏の遺言は「僕のことをいつまでも覚えていてほしい」だったと氏の母上が書いていた。
僕を含めた伊藤ファンは、今後誰のSFを読んでも伊藤氏のことを思い出し、生起しなかったテクストを惜しむんだろう。
改めて、氏の魂の平安を。