2011年3月発売・あさひコミックス 伊藤潤二傑作集6のレビューです。
収録作
1.路地裏
2.ファッションモデル
3.落下
4.相部屋
5.旅館
6.許し
7.煙草会
8.黴
9. 道のない街
10. 記憶
11. アイスクリーム・バス
抜群の奇想と耽美とギャグと恐怖と不条理を絶妙にブレンドしてちゃんとエンターテイメントに着地させる怪奇職人、伊藤潤二氏の新装作品集です。
内容は1991-1995年頃に朝日ソノラマのハロウィン誌に掲載されていた短編を編んだ物で、恐すぎて笑ってしまう追いカケッコ、古の星新一氏のショート・ショートを思わせる佳品、感覚共有の不気味さ、郵便配達夫シュヴァルの如く中年からいきなり本業とは別の事に熱中し始めた男の話、邪悪な魔力や科学・嗜好品によって変質してしまう人間等盛り沢山です。
特に表題作1は伊藤潤二作品では珍しく、怪異ははっきりと見せずに酷い終末を予測させる余韻で読者をゾクリとさせる恐い作品。
10は作者が誰もが認める美少女をしっかり描けないと成立しない作品です。
9は氏の特徴が一番良く出た街中の様子が徐々に狂いエスカレートしていく様を描いており読み応えがありました。
3月以降、本シリーズの刊行が止まっておりますが、朝日ソノラマ「ハロウィン」時代の氏の短編はまだまだ沢山残っており、諸事情お有りかとは思いますが名作「首吊り気球」や「墓標の町」も含めた続刊を期待致します。