この著書は画期的なものです。この本の最大の強みは、同時代の伊藤と接触のあった明治の元勲や政府高官、伊藤の身近にいた人々との間に交わされた書簡などの第一次資料に基づいて伊藤の実像を明らかにしていることです。
自らは元勲でありながら、薩長の藩閥政府による専制支配を打破して我が国を名実ともに近代的な立憲君主国家にしようとした伊藤の苦闘の生涯がみごとに活写されています。部分的にやや伊藤に惚れ込み過ぎではないかと思われる叙述もないわけではありませんが、そのような伊藤に対する著者の敬愛の念がこれだけの著書を書かせたものともいえます。
ともあれ、以外に本格的な評伝や伝記の少なかった伊藤の実像を浮き彫りにする見事な著書です。