初代内閣総理大臣・伊藤博文の伝記漫画です。
幼い頃から利発で賢かった伊藤俊介は父親共々、下級武士の家に生まれたが養子とされて勉学に勤しんだ。
世はペリー来航以降の幕末の動乱期に差し掛かっていた。諸外国の事情を学ぶことが今後の日本の役に立つと考えた伊藤は欧州留学を果たす。
明治以降、特にそれまで政府の中心として活躍していた西郷・大久保・木戸といった面々が暗殺や病死によって表舞台を去ったため、
伊藤が彼等に代わって政府の中心的な存在になっていったが、これが晩年のハルビンでの暗殺に繋がったといえなくもない。
さらに伊藤は師である吉田松陰からは格別目を掛けられていたわけではなかったとも、見込みなしと思われていたとも伝わり、
「博文寄りのこの漫画」では、松陰からも評価をされていたような記述になっているが実際はどうだったのか?
さらに意外だが、伊藤は歴代総理大臣の中で唯一人、人を自らの手で殺している。
国学者の塙次郎を1862年に暗殺。この本の中では争いごとを嫌う大人しい人物のように描かれているが、
長州でも穏健派であった桂小五郎(後の木戸孝允)よりも、過激派と言われた高杉晋作にくっ付いていたことからも、
決して大人しい人物ではなかったようである。むしろ若い頃は過激な性格であり、松蔭もその辺りを指摘していたのではあるまいか。
この本ではその辺の伊藤の暗部については描写がなく、除外されてしまっている。
それもそのはず。この話自体が著者が幼い頃に近所に住んでいた「伊藤博文の幼友達」であった107歳になるお爺さんに聞いた話をまとめたものだからだ。博文の親友が彼のことを悪く言うわけがないので、当然に博文贔屓の話になっている。
だが、歴史的な資料としての価値はそれなりに高いといえるだろう。