著者はテレビ東京「WBS」でも活躍している温和な容姿で鋭い解説をするエコノミスト。本書は前作「ビジネスエコノミクス」を踏襲した記述となっているが、日経MJの連載を整理したものなので、短時間で一つの話題を読みきることができる。
圧倒的な件数の具体例(誰もが知っている企業や商品など)を題材にマーケティングや経済学の要素が整理されている本書は、他には類を見ないものである。しかも、難解な数式や論述は一切排除。小売流通業界の「今」を俯瞰し更にミクロな視点を織り込むことでマーケティングや経済学のエッセンスをいつの間にか理解できる構成となっており、また、身近な実例を用いているので読者を飽きさせない。
ただ、マーケティングや経済学を学ぶための本ではなく、それらを生かして流通小売業界を整理表現しそこで起きている現象を伝えるという観点の本であるということを念頭に置いて本書を手にとられると良いと思う。