オビの「恋愛マスター(!?)秋☆枝」との惹句をみて、なんじゃいソレという抗いがたい好奇心からつい衝動買い。
面白いなぁ。
表題作「伊藤さん」シリーズは、ツカミ、流れ、妙なリアリティで読ませる。なにより伊藤さんのアラサー的可愛らしさが小気味いい。
他の各短編も非常に出来がいい。
「はじまり」の『親の再婚で同居することになった同い年の高校生』というあまりにベタベタな設定も、恋愛マスター(!?)にかかれば、こんなにも初々しい二人の男女のお話になるのか…。
「ハイ&ハイ」も、背高のっぽの女性の心情と可愛らしさが妙にリアルだ。学生自分によく遊んだ背の高い女の子が似たような話をしていたのを思い出した。
(残念、私はその娘と同身長だった。つまり恋愛対象外と宣告されたわけだ)
「憧憬の家」は忍者屋敷に住む夫婦のお話だが、忍者屋敷ってどうよ。斬新だ。
「Chocolate Cake」も「二人の出会いのお話」も「ブラフ」も悪くないショートエピソードだ。
しかし一番の大気に入りは、デビュー作の「先生+」。
種明かしに使われた見開きの相似形カット割り(P96,P97)に、コミックスという紙媒体の『表現方法としての潜在力』を感じた。
WEBサイトで創作活動をされている作家さんのようだが、さすが恋愛マスター(!?)。上手い。
恋愛マスター(!?)は『勢いで描いた』と述べておられるが、その荒削りさが逆にイイ。
できるだけ多くの人に読んでもらいたいので敢えて内容は書かない。
しかし、これを薄ーくのばしてワンクールのアニメにでもしたら結構面白そうだ。
少なくとも昨今の、『種も仕掛けもケレン味もドラマ性も皆無のいわゆる萌えアニメ』より数段ましな娯楽作が出来ると思う。
なにはともあれ、騙されたと思って手にとって、恋愛マスター(!?)の粋な小品集をご覧あれ。