昨年、久し振りに伊勢神宮を訪れる機会があり、一人でゆっくり内宮と外宮を巡ってきた。五十鈴川にかかる宇治橋を渡ると神の住まう世界、ここにある巨大な鳥居には内宮・外宮に使われた棟持柱が利用されているそうだ。内宮、外宮の社は千数百年前の素朴な姿をそのまま残していて西行ならずとも有難さを感じる。
本書は神宮の河合真如氏の文章に写真家・宮澤正明氏の多くの写真(一般人には見られない行事などもある)を加えて参拝だけでは知ることのできない神宮や境内にある多くの社の縁起、数多くの祭りや儀式の様子などを分かり易く語ってくれる。また、神宮で行っている神田での稲作、御園での野菜や果物の栽培、御塩の製造などで日本人の原点となる生活を見せてくれている。しかし、これを現代の感覚でエコなどと結びつけないほうがよいと思う。昔から継続していることだけで十分意義があることなのだから。
今年は古事記の成立から1300年に当たる。
古事記によると日本武尊は東国平定の際、伊勢神宮を訪れて叔母の倭姫命から草薙の剣を授かった。日本武尊が訪れた伊勢神宮が今も存在するということは何とも素晴らしいことではないか。