マーケティング領域を中心とした、企画の本。
一部フレームワークや、TIPSの紹介的な形式をとりながらも、著者の力点は企画実務を行う際の視点の置き方や、考え方の解説に置かれている。
そうした意味では、本書は読んだ翌日から劇的に何かを変えるという類のものではなく(そもそも、そうした”即効性”を謳う世の中の書籍の多くはまやかしだと考えるが)、内容を咀嚼し、会得する為に読者の一定の”努力”を求めるものである。
その努力を厭わぬものには、本書はその目指す方向を指し示す良質な羅針盤として機能するだろう。
対象読者としては新入社員全般(基礎的企画力の会得)、マーケティング・企画部署の新人(企画実務の全体像の把握)などがすぐ上がると思う。若手はこうした本を実際に使ってどんどん”恥をかく”べきだ。個人的な経験から言えば、企画力を高めてくれるのは成功体験よりも失敗して恥をかいたり悔しい思いをしたケースからの学びであるように思える。
また、本書は企画実務に携わって5-10年程度を経過した中堅にとっても、自己の経験の振り返り、確認などに活用できるだろう。自分にとっては後者の意味が大きかった。
「真の企画力」とは、誰も見たことがない課題をきちんと定義し、効果的な答えを導き出せる(出し続けられる)力だと思う。既に今日の社会において「過去考えても見なかった全く新しい課題」の割合は増え続けており、今回の災害をきっかけにその傾向にはさらに拍車がかかるだろう。
その時に、「想定外」「前例がない」を言い訳にせずに、企画の力で見たことの無い課題に新しい解決策を生み出していける同志が1人でも増えることを願って止まない。