表題が少し紛らわしいですが本書は「企業『からの』研究資金の獲得法」です。
主に大学の研究機関で資金繰りを行う者(多くの場合研究室を持つ大学教授)が、
企業から助成金を得る事を目的として書かれた本です。
私の様な技術系の起業等を資本金集めを考えている方も其れなりに役に立ちますが、
他書を選んだ効率が良いでしょう。
但し、全く役に立たなかったわけではありません。
企業ニーズを知れる為の客観的なデータが多く、非常に示唆に富んでいて面白かったです。
同時に本書は助成金を得るという目的を越えて、企業と大学の健全な関係についても語った本であると思いました。
特に興味深かったのは「企業が大学に求めているもの」として
「研究開発の効率化や規模の拡大」は(それらは自社の開発部で行う為)それ程求められていなかったことです。
その一方で、純粋な「研究開発力・技術力の向上」は勿論高かったが、それ以外にも、
「自社に存在しない技術知識やアイデアを活用」が同等のレベルで求められていた事です。
例えば、本書では『自動車会社』と『植物の研究』という一見ミスマッチな組合せから、
バイオエタノールが実現された事で例えて説明しています。
之は思い切った独創的な新規研究開発は企業としては行いにくい為、大学に委託したい思いがあるようです。
また、他にも大企業の海外投資への比重が年々高くなっている事も記述されており参考に成りました。
海外の大学の研究機関のレベルは高く、研究者の人材の質も高いのが主たる理由です。
他にも、業界ごとに事情があり、特に製薬メーカーは法律の制約があり、
日本は新薬の販売が諸外国に対して後発に成る場合が多く、海外向きにならざる得ないとも書いてあります。
その一方で、コストに関しては国内が圧倒的に優れていると認識されてため、
日本の大学はこの部分を主張していけば良いでしょう。
また最後の巻末の助成金一覧が支援する研究分野毎に分かれており、
実際に助成金を受けようとする方は直ぐに参考に成る本だと思います。