アリックスはアメリカでは実績ある企業再生ファームですが、
本書は我が国における企業再生への世間的理解を「浅い」と想定してか、
書籍である以上ストーリーとして成立するように意図してか、
本書の舞台として登場する企業の状況が相当に、
再生しやすい設定となっていますね。
例えば、研究開発費で、不急不要なものが1億円もあるなど・・・
そんな打ち出の小づち、普通は残されてませんから。
現実は、本当に絞って擦り切れた雑巾のような状態の企業に乗り込み、
でも、企業の経営陣からは「任せるから早く救ってくれ」と過大に期待され、
従業員からは「こいつらが会社を切り売りする奴らか」と誤解の白い目を向けられます。
業種によっては、地元自治体や監督官庁、地縁や血縁などのしがらみが、
嫌というほど絡み合ったなかで、最初はまともに身動きもとれません。
それでもそこから、蟻の一穴を探し当て、
再建に向け一人、また一人とミドルから行動を引き出し、
スタッフの希望に火をともし、汗と涙を一緒に流しながら、
年を越える時間をかけて、企業を再生してゆくものです。
そういう意味で、もう少し、リアリティある話にしてほしかったですね。