仲達については、三国志でも終盤に孔明のライバルとして描かれるに過ぎないことが多い。
彼が活躍した時代は、三国志の主人公達が殆ど退場し、三国とも堕落しきった非常に陰鬱なものであり、これをどのように描いても、すっきり爽やかというわけにはいかないのだろう。
そんな中、この本では実直に仲達の近くにカメラを固定したかのように、淡々と物語を進めており、普通の三国志では描かれていない部分を知るのには興味深いものとなっている。
また、思い切った仮定によるフィクションを設定しており、これが地味な時代を描かざるを得ないこの作品の一つのスパイスとなっている。
しかし、やはり残念なのは、後半が少し駆け足になっていることで、もう少し司馬一族が晋を建国し、三国を統一するまでをしっかりと描いてほしかった。