初めてこの本を読んだのは、図書館だった。
何気なく手にしたその本は、私を異次元に連れて行ってくれる魔法の本だった。
この中で語られるのは、この世ならぬ世界・・・そこでは人が人ではなく命持たぬはずの物は単なる物ではなく、すべてが信じられないような美しさと哀しさに満ちている異世界。
何度もこの本を図書館から借り出しては、魔法の世界にひたっていた。
図書館から盗み出したいくらい欲しかった本はこれだけだった。
しかし、いつのまにか図書館から足が遠のき、久しぶりに行った図書館の書棚からこの本は消えていた。
それを知ったとき、私のファンタジーの世界が終わったのを感じた。
それ以来、ファンタジーと言われる種類の本を私は読みたいとは思わない。
本当は、この本に★なんてつけられない。それは、不遜なことなのだから。