昭和ライダー達の魅力は主人公達の「かっこいい漢」としての魅力の中にある。彼等は悪を憎み、弱い物を守り、自分達が傷つく事を恐れず決して戦いから背を向ける事はない。その姿は男の子なら誰もが憧れ、こうなりたいと願う、『ヒーロー』の姿だ。かつて島本和彦が「俺にとってのライダー愛のゴール」とまで言った村枝賢一の『仮面ライダーSPIRITS』はまさしくその漢としての特撮ライダーの魅力と愛を最大限に描ききった傑作であり、『ヒーロー』に対する讃美歌でもあった。
だが、この作品のライダーは決してかっこいい漢ではない。
『仮面ライダーblack』の主人公は改造人間としての力に増長しながら、怪人との戦いに恐怖して逃亡してしまう。
『仮面ライダーZO』では改造人間にされ何もかも失った怒りを主人公が奴当たりのように敵であるドラスにぶつけていく。
人として欠点だらけで弱く、そんな自分に自暴自棄になり戦いから逃げ出そうとする主人公達の姿はかつてライダーというヒーローに憧れながら、現実の社会の厳しさと自信の才能の限界に打ちのめされるごく普通の男達の姿、そのものだ。
主人公達は敗れ、傷つき、失い、男としてのプライドのすべてを失う。
だが、それでも立ち上がるのだ。
自分の情けなさも、不甲斐なさも、力無さも、立ち向かう相手への自信の無力さもすべて受け入れ、友のため、失った誇りのため、男としてのけじめのため、男達はライダーへと変身するのだ!
この作品は、著者が最も尊敬する石ノ森章太郎作品へのリスペクトであり、昭和と平成という時代の間に作られた二つの作品の優れたコミカライズであり、後に人間として未完成な主人公が正義とは何かを悩みながら模索していく『平成ライダー』を先駆けた意欲作であり、そして何よりも、かつてライダーと言う『ヒーロー』に憧れ成長し、必死になって大人になった今を闘うすべての男達に、例え情けなくて弱くて漢になれなくても、闘おうと立ち上がれば、誰もがライダーへ変身できる事を教えてくれる。『現実のヒーロー達』への応援歌なのだ!