テレビシリーズから2本の映画にとどまらず、吉川晃司のPV映像やネット限定ムービーまで絡め、あらゆる制作関係者から作品への情熱を感じとれる「真の仮面ライダーW本」と言える良ムック。
値段はかなり高めの設定になってしまっているものの、Wをずっと応援してきた人への「ごちそう」っぷりや凄まじく(井坂先生のように)貪欲なファンでもちょっとすぐに読めるとは思えないほどのテキスト量。ビジュアル重視の本も良いが、特撮シリーズとしてここまでテキストで語るべき内容のある作品も珍しい。
分量のほとんどを制作関係者へのインタビューが占めているなか、後半の寺田克也(怪人デザイン担当)の全ドーパント(怪人)解説(デザイン画つき!)は個人的にすごく嬉しい。「ナスカ」や「ウェザー」、「ユートピア」など子供にも人気のデザインから、良い意味でインパクトの強すぎたその他の怪人(コックローチとかTレックスとか…)まで事細かにコメント付きで紹介されてる時点で、Wの敵キャラに愛着のある人は必買。
また、ほとんどの関係者コメントに共通するのがメインライターである三条陸さんの脚本が素晴らしかったという部分。脚本・ドラマ・ストーリー・設定といった良い土台が、演技から美術デザイン、特撮効果をもまとめて高い次元に昇華させる好例だとあらためて思い知らされる。
とにかく仮面ライダーWは、徹底して娯楽的な楽しみを追求した作品なので、俳優やスタッフの気力の充実が画面上からビシバシ伝わってくる部分が面白かったのだが、インタビューを読むと観賞時に感じたとおりの意図や想いが語られていて、それはまさにWの完成度の高さを裏付けていると率直に感動した。
ひとつだけ気になることとして、読めば読むほどDVD全巻を揃えたくなる衝動に駆られるので、(2010年9月時点で)まだDVDの発売スケジュールが先までつづくことが恨めしくなるかも知れない点には注意しなければならないだろう。