伊上勝は伝説のシナリオライターだ。
「遊星王子」から始まり、「隠密剣士」から「仮面ライダー」・・・テレビの草創紀から活躍し、テレビが飛躍する時代を演出したシナリオライターだった。
著者の竹中氏もこの書籍の中で語っているが、伊上勝に関する書籍が今までなかったのが実に不思議だった。私も待っていた一人だ。
最初、この本を手に取り、パラパラと読んでみたら、字が大きく、内容がスカスカかなと少し落胆したが、読んでみたら大違いだった。
伊上勝氏の長男で、シナリオライターの井上敏樹氏が書かれた第1章の「回想 伊上勝」は素晴らしい文章だ。読んでて目頭を押さえた。親と子の相克、子から見た親の姿と親の外での華麗なる経歴とのギャップが、まざまざと描かれている。
そして、第2章以降の竹中氏のインタビュー記事も、抑えが効いていていい文章だった。特に宣弘社時代の部下の阿久悠さんのインタビューが採録されていたのには驚いた。
だが、伊上氏があまり友人がいなかったこともあり、他の元東映のプロデューサーの平山亨氏らのインタビューを通じても、伊上氏の姿はなかなか浮き彫りにならない隔靴掻痒感は多少あった。
しかし、やっと出た「伊上勝」評伝は、待っていた甲斐があった作品だった!