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仮釈放 (新潮文庫)
 
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仮釈放 (新潮文庫) [文庫]

吉村 昭
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

浮気をした妻を刺殺し、相手の男を刺傷し、その母親を焼殺して無期刑の判決を受けた男が、16年後に刑法にしたがって仮釈放された。長い歳月の空白をへた元高校教師の目にこの社会はどう映るか?己れの行為を必然のものと確信して悔いることのない男は、与えられた自由を享受することができるか?罪と罰のテーマに挑み、人間の悲劇の原型に迫った書下ろし長編小説。

登録情報

  • 文庫: 292ページ
  • 出版社: 新潮社 (1991/11)
  • ISBN-10: 4101117292
  • ISBN-13: 978-4101117294
  • 発売日: 1991/11
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 罪には必ずそれに相応しい罰が伴う、という真理を教えてくれる名著。
 この小説の主人公にとっての罰は、二度目の殺人ということになるだろう。この罰は、彼が最初の殺人に対して罪の意識を持てなかったことの必然的な結果であった。
 そのような罪悪感の欠如は、実は彼の正義感と密接に結びついている。彼は子どもの頃から虫一匹殺せぬほどの優しさを持ち、性に対しても潔癖さを保っている。そのことが無意識のうちに彼の中に「自分は間違っていない」という自負心を形成し、殺人を正当化する論理を作り上げていたのである。
 彼は不貞を働いた妻を殺害したことを少しも悔いていない。それどころか、殺した後でもまだ相手に対する怒りは治まらないのである。この怒りが嫉妬心から生じたものではなく、彼なりの正義感に由来するということに我々は気付かされる。単なる嫉妬であったなら、彼は犯行後に目を覚まし、罪を悔いることができたであろう。それができなかったのは、彼が自らを「正義」と考えたからなのだ。
 自分が正しいと思い続ける限り、人は罪を繰り返すだろう。それが罪悪感に苦しめられるという罰を逃れた者に与えられる罰なのだ。やはり、本当の正義は自らの正義を疑うところからしか生まれないのだろう。
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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:文庫
著者は、「破獄」「赤い人」など、日本の行刑史や元受刑者を題材にした作品を数多く発表しているが、本書は、著者がこれらの作品の取材や調査で得た知識と、罪を償うとはどういうことか、という問いに対する著者の考えが見事に結実した「小説」である。

この作品は完全なフィクションとのことだが、過去の蓄積がなければ、細かなデティールや主人公の行動や心中を、ここまで推し量って描き出すことはできなかったであろう。そういった意味では行刑を扱った作品の集大成と言えるかもしれない。

主人公は、浮気をした妻を刺殺したなどの「罪」によって無期の判決を受けるが、模範囚であったため16年後に仮釈放された男である。しかし、心の中では自らの犯した「罪」を悔いることなく自己の正当化に努めていただけである。

仮釈放後の生活は、人の目を気にしながらではあるが、慎ましく営まれ、徐々に“普通”の暮らしを取り戻していく。そして、保護士の紹介で一人の女性と結婚し、“普通”の暮らしを始めるのだが、“ある”理由でその女性を殺してしまう。これが男の受ける「罰」なのだが、彼は、これが自分の定めであり、それはどうにもならないことなのだろう、と考える。

私はこれを、「罪を償わない者は罰を受けなければならない」という心境ではなく、単なるあきらめと受け取り、著者の厳しさを感じたのだが、実際はどうなのだろうか。

刑罰の目的には、犯罪者への報復であるとする「応報刑」思想と、日本のように犯罪者を教育改善し社会的脅威を取り除くという「目的刑」思想の二つの考えがあるが、私にはどちらが正しいのか判断できない。ただ、その人の本当の心の底はその人以外にはわからない、ということは言えるのかもしれない。

著者は7月31日に79歳で亡くなってしまった。惜しまれる死だが、作家としては幸せな生涯だったに違いない。
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形式:文庫
吉村昭は入念に資料を調べる他に、地道に当事者にインタビューをし、現場へ何度も足を運ぶ作家としても知られている。作中、主人公が殺人事件を起こした故郷(千葉県某市)へ帰るがシークエンスある。人目を避けるため、一つ前の駅から夜中に歩いて来るというシーンを書くため、吉村氏自ら同じ道を歩いてみたそうだ。ちなみに私はその町の出身で、細かな風景描写の正確さに驚いた。内容は完全なフィクションであるらしいが、それでも細部にわたって厳密な正確さを常に求める吉村氏の一面を見ることができた。
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魅力的なストーリー展開
 服役中の成績が良好であることから仮釈放されることとなった無期懲役囚が主人公。... 続きを読む
投稿日: 1か月前 投稿者: shunp
終はり方には問題がある。
俺自身、吉村昭の小説はかなり読んでゐるはうだらうと思ふ。感銘を受けた作品も少なくない。だが本書の意義(内在的な意義や文学的な意義ではなく社会的意義)を考へると、疑... 続きを読む
投稿日: 3か月前 投稿者: 泥まみれ
16年経っても…人の心の難しさ虚しさ
本の説明(内容)に、... 続きを読む
投稿日: 6か月前 投稿者: amedio
「改善更生」とは何かを問題提起した名作中の名作!
主人公は浮気をした妻等への殺人,放火等を犯した後無期懲役に処されるが,13年後に仮釈放された後定職に就き苦労しながらも生活も安定する。ところが再婚相手を殺して(傷... 続きを読む
投稿日: 9か月前 投稿者: bocchan
じわじわと迫りくる恐怖
罪とそれに伴う償いという単純な関係だけでなく、運とか縁とかに左右される人生について書かれた本のように感じました。極悪非道な人間だけでなくまじめで気の弱い人間だから... 続きを読む
投稿日: 12か月前 投稿者: 平和
きつい作品
吉村先生の本を読み続けてウン十年経ちますが、
この本はなぜか今まで読んでいませんでした。
読み終わって理由がわかりました。... 続きを読む
投稿日: 2010/5/16 投稿者: 蘇冬
最後の最後で突き放された。
吉村昭は、この小説を誰に向けて書いたのだろう?
考えさせられると同時に、過去を変える事は出来るってメッセージは... 続きを読む
投稿日: 2009/7/4 投稿者: ゲッチュ
犯罪者の心情を克明に記しながら・・・
吉村昭さんの本を読むのは、これで4冊目である。破船、羆嵐、破獄に続いてこの仮釈放を読んだ。どの本を読んでも、淡々とした簡潔な文章が、心に食い込んできて、読者を釘付... 続きを読む
投稿日: 2006/12/23 投稿者: 小学娘二人の父
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