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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「宗教」の真相へ,
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レビュー対象商品: 仮想儀礼〈下〉 (単行本)
この下巻はすごい。「ゲーム」として捏造された「宗教」が、迫害されたコアな女性信者たちの間で完全な実体と化し、やがてその「教祖」の心身をも支配していく過程を刺激的なストーリー展開にのせ、説得的に描き出している。苦痛すぎる現実的な不幸からの逃走と狂気じみた妄想に、それらしい「教義」と「儀礼」が形を与え、やがて暴走していくとき、何が起るのか、その実情を著者は巧みに小説化した。そうした息を呑むような「仮想現実」のなかで、しかしなお現実と虚構のはざまを行き来しつつ苦悩する主人公の姿が、誠に立派であった。自分の軽率な思いつきにより精神を呪縛され破滅していく人々を、最後まで引き受けるという責任の自覚が、ついには心底からの敬虔な「祈り」を彼に自然に行わせるに至る。あくまでも人間としての「常識」をまっとうしようとする誠実な態度が、結果として「常識」を超えた信心の次元を切り開く。 「宗教」とは何か。エンターテイメント小説という体裁でその真実に肉迫しようと試みかなり成功した、これは稀有な傑作である。
15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ページを捲る手が止まらない!,
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レビュー対象商品: 仮想儀礼〈下〉 (単行本)
発展を遂げた団体が、今度は破滅していく様を描いた下巻。教祖の正彦の思いとは違う方向に、どんどん堕ちていく。 ここが凄い…。 いったいどうやって結末を迎えるのかと、ページを捲る手が止まりません。 信者からも見放され、落ちぶれて、また一文無しになる正彦を予想していましたが、そんな簡単には終わってくれませんでした。 正彦の思惑からどんどん離れ、信者の中でどんどんと違うものに成長し暴走していく。 想像以上に悲惨な最後でした。 新興宗教の様々な事件が起こるたび、感じていた疑問。 何故、人が宗教に頼り、落ち、狂っていくのか。 その様子がありありと描かれ、疑問の一部を解いてくれました。 本書に描かれた様々な信者たちの姿が非常にリアルに感じられたのは、著者の取材力と描写力の為せる技でしょう。 とにかく凄い作品でした。 上下巻、900ページ超ですが全く飽きることなく、一気に読みました。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
リアルで残酷でありながら、美しい理想。,
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レビュー対象商品: 仮想儀礼〈下〉 (単行本)
とんでもなく過酷な状況に直面することによって、凡庸で卑俗な男が、現代では困難に思われる、純粋な宗教的境地にまで到達する。この枠組みは1998年に出版された同じ作家の手になる『弥勒』と同じです。 しかし『弥勒』が日本人にとって明らかに別世界であるチベット周辺を舞台にしたのと異なり、本作は現代日本が舞台であるため、より一層リアルであり、読者は嫌でも自分をかえり見なくてはなりません。 篠田節子の描く人物は、完全な善人でも完全な悪人でもなく、完全に愚かでもなければ、完全な賢者でもありません。まさに現実の人々の等身大モデル、あり得る我々です。 にもかかわらず、主人公は否応もなく人間的成長を遂げてしまう。 状況があまりにも過酷であり、それが避けようがなく、まさしく実際に起こりそうなことだから。 とても残酷な話でありながら、この結末に、読者はある種独特の感動をえることになるでしょう。
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