厳選されたエッセイ71編という事で、司馬遼の多岐にわたる活動が、ここに一気に分かる。
そんな構成になっている。
読んで印象に残るといえば、外国も含めた文化・言語について、浄土宗を中心にした宗教について、故人を偲ぶ言葉、
様々な人の著作に寄せる言葉、と言ったところかな。
この本を手に取る人はきっと、(私もそうだけど)司馬遼の小説は随分読んでいる人ではないかと思う。
正直言って、そう言う人には、かなりのエッセイの文体がちょっと気になるのではないかしら。あるいは、私のよう
に違和感を覚えるとか。そんな気がする。
極めて簡潔な文章、と言うか、一文が短く、ばさっと決めつけてしまうような、言い切ってしまうようなものがかな
り多い。その言い切りの内容が、(短いからよけいにか)結構難しく、そしてその、ええっ−?!と言う気持ちを、
その後の文章がほぐしていく。ただ、読んでも読んでもほぐされないものもなくはない。
故人を偲ぶ文章や、他の作家などの著作に寄せた言葉は、司馬遼自身がかなり親しい、個人的な親交がある、などの
せいか、この難しさがひとしおという感じが強い。かなり行間を読まなくっちゃ。簡にして容易、ではなく、簡にし
て難解だぁ。
正直、取っ付きが悪い感じを持ちました。
一方、そう言う意味では、大変に勉強になりました。
知らない事を随分教わった。なかなかに自分で読み調べてもそこまでわからない、と言う事を、さすがそこは作家ら
しくきちんとした流れで話して(書いて)くれるもんだから、なるほどなるほどそうだったのか、と謎を解くように
理解できて面白い。
特に、親鸞を中心にしての我が国の仏教界、仏教史、の話しは大変に勉強になった。これは、嬉しかったなぁ。
難解さを適度に端折って、読みたいところ、読めるところをつまんでいく。そんなふうに、楽しませてもらいました。