松坂和夫「代数系入門」の第5章体論のはじめから§9Galois 理論の基本定理
まで読み進んで、「体LがK[x]のある分離多項式の分解体ならばL/Kはガロア
拡大である」という重要な定理が今ひとつしっくりこないので、こちらの本の
4章から復習のつもりで読み始めた。
中島「代数方程式とガロア理論」では、この理論のクライマックス?である
ガロア対応の証明には「分離多項式の最小分解体はガロア拡大を与える」と
いう先の定理を使わずに証明し、ガロア対応を証明した後で定理5.54とし最後
の締めくくり的に「ガロアの大発見である」とコメントしながら先の定理を
とりあげて証明してゆく。
このあたりの、読者をガロア理論という高い山に導いてゆく、その案内の仕方
というか、理論を説明してゆくその展開の仕方がとても明快で巧み、無駄がなく
わかりやすい。定理の証明などの記述も初学者向けに丁寧に優しく書いてある
ので、私のような数学を趣味とする独学者にはうれしい。よく気がつく家庭教師
のような数学書である。
難点は長所の裏返しだが、説明が丁寧すぎて時たまかえって要点が見えにく
くなってしまうことがあるところ。しかしこれは自分なりのノートを作りなが
ら読み進むようにすることで解決される。
独学でガロア理論に初めてチャレンジしようとする人には迷わずこの本を
推奨する。