著者がかって東京大学で講義した内容をまとめて1948年に初版を出版した古典的な代数学の著作です。しかし全く古くは感じられなく複素数の解説から始まって多項式の性質が丁寧に解説されています。
実係数の代数方程式の実数解を計算するSturmの定理の説明も丁寧であり、学校で教えられていないおもしろい数学を知ることができます。
三次、四次方程式の解の公式を説明した後、五次以上の代数方程式の代数的な解の公式がないことの証明を述べています。ガロア理論によらないで、1826年にAbelが証明した方法を知ることは興味深いことです。後半に入り行列式の解説に入ります。ここでも天下り式に行列式の説明をしないで、LeibnitzやCramerが扱った方法から説明しているので行列式を考える意義が良くわかります。続いて行列式から行列を登場させていく進め方は、さすがに著者ならではと納得しました。抽象的な代数学を学ぶのと並行してこの著作を読むと現代にいたる代数学の経緯を知る上で大変参考になり良い本です。問題も適宜入っておりそれを解きながらじっくり読むことを薦めます。