この本のタイトルは、その魅力を半分しか伝えていない。確かにこれは阪神タイガースの元代打の切り札川藤幸三の本であるけれど、同時に、建設不況の中で社長が急死した奥さんの実家の家業を引き継いで立て直した開田幸三の本でもあるからだ。
会社を野球に例えると、1番は営業、2番は総務、クリーンナップは社長を含む役員。しかし、野球の花形である投手陣の役割を果たすのは、「関連会社や外注先など、職人やスペシャリストが率いる別働隊」なのだという。
「覚悟を持てば持つほど、理不尽なことが増えてくるもんや」
「長い目で見たら、同情なんてされる方にはたいした意味はない」
「まずは地力をつけてその集団のルールの中で認められるようになるしかない」
「生き残るには、人生という試合でゲームに出る必要がある。結果を残す必要がある」
「弱点は補強してもなかなか売り物にまではならん。弱点を補強するときには、セットで自分の強みをさらに鍛えることが重要なんや」
「種を撒いただけで芽なんて出んのよ。水を撒いて、草を引く。ひたすら、フォロー、フォローが大事なんや」
「仕事は現場に落ちている。現場でしか培えない信頼関係が新たな信用を生むんや」
「人間には、『変わらなければいけない』部分と、『変わってはいけない』部分が必ずある」
「自分で自分がわからないまま、人の話を受け入れてもいいことなんぞない」
「弱い自分を認め、カッコ悪い己を受け入れるだけで人生は変わる」
「損得抜きの関係は一生もんや。一方、完全に損得だけの人間はこっちがダメになったらスーッと離れていくだけのこっちゃ。まあそんな大ケガはせんやろう。だから、損得でよってくる人間も差別はせん方がお徳やで」
「常に考え続け、立ちはだかる壁を打開すべく、行動し続けることが、生き残るのにもっとも必要なことなんや」
いい意味で泥臭く、そして力強い。簡単に読める本だが、人気プロ・スポーツと中小企業の社長業という2つの世界を知っている強みが表れている点が特徴的で、半端なビジネス書よりもよっぽど面白い。いろいろな名選手や裏方さんとの感動的なエピソードも書かれている。