「好物は最初に手を付けたい」タイプの諸兄ならば何をさて置いても【第四章】から読みたくなる、あるいは読んでしまう……これが本シリーズであろう。しかし、本巻では最初から順を追って読んで良いかもしれない。【第一章】から咲が飛ばしているからである。物語自体は幸運不運にまつわるもので、これを前向きに捉えるか否かを問うており、謎の人物が登場したりもしているが、それより何より咲がなんともいじらしい。刻也の何気ない一言に過剰反応、前巻からの絡みで「最近お店に女の子を連れてきすぎ」とクギを刺し、都和子さんと楽しげなところを、まるで『家政婦は見た!』状態でチェックしたりと忙しい。それでいて刻也とのささやかな2人の時間をこっそり楽しむ可愛らしさも見せている。しかし、【第二章】から【第三章】にかけて咲のシリアスな面が出てくる。母子の情愛を綴った切ない物語は本シリーズ初の続き物ストーリー。2人はなかなか深刻なピンチを迎えるのだが、何か贖罪しなくてはならないような咲の過去を示唆させている。それは、初デート(?)な第四章にも出てきており、咲の知らない「刻也の別の素顔」を垣間見た一抹の寂しさとともに独白されている。これまでも咲の謎めいた部分は散りばめられていたが、今後これがどういった形で現れ、刻也との関係にどのような影響を与えるかが不安であり興味深いところである。それにしても、あの咲がまさかニーソックス履いたツインテール姿を披露するとは思わなかったなぁ。そのニーソックスが挿絵で描かれていないのが激しく残念。鈍感な刻也にどんどんアタックしてみて!と応援したくなる。