先日NHKの特集を見ました。著者の若泉敬氏の、沖縄返還までの道のりと、返還後の苦悩について克明にトレースされていました。
私はこの番組を見て、「若泉敬」という一民間人に興味を抱くと同時に、現在の我々日本人が喪失してしまった何かを感じました。私はこの何かをはっきりつかみたいと思い、若泉氏の本著作を読みました。「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ズ」は陸奥宗光の外交秘話「蹇蹇録」の中から採った一節だそうです。当時の沖縄返還に関わる密約で、基地問題等に関し、現在の状況のようにせざるを得なかったことがうかがえます。沖縄の「痛み」を日本の「痛み」として血肉にし、そこに殉職していく若泉氏に尊敬の念を抱きました。現在の日本人が喪失しているものが何なのかつかめた気がします。日米関係を相似形とした日々の煩わしい人間関係への配慮や、経済的な思惑から離れ、理想を追う姿、正しさ・優しさを追う求道者としての若泉氏の姿、これこそが現在の日本人に欠けている姿勢ではないでしょうか。