友人とはいえ、価値観の違う者同士が暮らす難しさも良さも描かれていました。「老後は、気の合った女同士でホームシェアを」という作品をたまにみかけますが、谷川先生作『他人暮らし』は、期間を決めて友に宿を提供するというもの。
離婚歴があり、書道講師をしている和風美人・純花、
雑誌の編集者をしているキャリア女性・頼子、
成田離婚でなく、成田で別居を決めたサワ
三人の、それぞれの視点で描かれた三話を収録。読者によって、誰に一番共感できるかは分かれそうです。
友人の幸せのために、余計なお世話かな?と思ってはいても、とにかく何とかしてあげたい!と動かされて、協力し合うのが、温かくて良かったです。
他人と暮したり、何気ない会話を交わしたりすることで、自分の弱点を思い知ったり、反省させられたりといったほろ苦さも、リアルです。巻頭の話の主人公は、純花さんです。純花さんの経験が、一番苦かったです。
主人公たちは、関わり合った人たちに触発され、強い決断を下していきます。
読みきり「秋雨」も良かったです。万葉集を愛読していた同僚が亡くなり、夢に出てきて、何かを伝えようとする話です。ページ数にすると短いですが、万葉集をからめた奥が深い話で、心に染み入ります。ずっと心に残りそうです。