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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間の象徴としての顔,
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レビュー対象商品: 他人の顔 (新潮文庫) (文庫)
作者の代表作の一つ。顔のキズが原因の一つとなって、妻の真情を疑う夫が仮面を作って"他人として"妻の襲撃計画を立て、妻の真意を確かめようとする話。発表当時は作品の構成に大分批判が集まったようだ。襲撃実行前の、仮面製作等の準備の描写が全体の5/6程を占め、実際の夫と妻の対決が一瞬で終ってしまう。だが、私はこれは作者の計算通りだと思う。夫が執拗な程に仮面作成に没頭する姿、あるいは計画を綿密に練る姿に怨念のようなものを感じ、読者を物語に引き込む。そして、仮面が象徴する"顔"が人間にとって何を意味するかを読者にも考えさせる。そして、最後に待っているドンデン返しの皮肉。 人間の表面的な象徴と言える"顔"の考察と共に、男と女の間に存在する心の闇を映し出した秀作。
13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人間存在の不安,
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レビュー対象商品: 他人の顔 (新潮文庫) (文庫)
安部公房のモチーフを一言でいえば、「存在論」ということができると思う。なかでも「他人の顔」は、人間にとって必要不可欠な「顔」を題材とし、人間存在の不安を容赦なく揺さぶる作品である。また、安部公房はしばしば理系の作家といわれるが、本作品における精緻な科学的記載はまさに作者によってのみ可能であり、新鮮な読後感を与えている。そして、個人的感想であるが、作品の後半部でエピソード的に語られる少女の映画が印象的であり、作品全体のテーマを暗示しているように思われる。
19 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
安部公房の緻密さを知りたい人に,
By やし酒飲み (茨城県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 他人の顔 (新潮文庫) (文庫)
本作は、『箱男』よりもずっと考えてしまうし、『砂の女』よりも複雑な舞台設定が繰り返されるし、『箱舟さくら丸』よりも言葉遣いが面白い。なんたって、冒頭の文章からして格好良いんです。舞台役者が言ってみたい台詞の代表だと思います。声に出して読みたいのはこの小説です。物語はハード・ボイルドで、文体は安部さんの美学の連続で、登場人物はみなロシア人のような雰囲気があります。日本ではなくてロシアの街で朗読されでもしたら、絶対に行きたい作品です。存在の哲学とか、象徴しているものは何かとか、すべて抜きにして読みたいと思いませんか? 安部公房さんに会ってみたいなら、この『他人の顔』のページをめくってみてください。 作中には、三冊のノートと手紙が出てきます。井上靖さんの『猟銃』にも三冊の手紙が出てきましたが、本作品の場合はノートです。ノートには何がどんな経緯で書き込まれているのでしょうか。実際に読み進めていくと、自分自身も分裂していきそうな倒錯が起こります。 ときどき読み返しますが、緻密で詩的な表現にうれしくなってしまいます。いったい、この作家はどれだけ時間を費やして書いたものか、と思わずにはいられません。星5つです。
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