登録情報
|
なんたって、冒頭の文章からして格好良いんです。舞台役者が言ってみたい台詞の代表だと思います。声に出して読みたいのはこの小説です。物語はハード・ボイルドで、文体は安部さんの美学の連続で、登場人物はみなロシア人のような雰囲気があります。日本ではなくてロシアの街で朗読されでもしたら、絶対に行きたい作品です。存在の哲学とか、象徴しているものは何かとか、すべて抜きにして読みたいと思いませんか?
安部公房さんに会ってみたいなら、この『他人の顔』のページをめくってみてください。
作中には、三冊のノートと手紙が出てきます。井上靖さんの『猟銃』にも三冊の手紙が出てきましたが、本作品の場合はノートです。ノートには何がどんな経緯で書き込まれているのでしょうか。実際に読み進めていくと、自分自身も分裂していきそうな倒錯が起こります。
ときどき読み返しますが、緻密で詩的な表現にうれしくなってしまいます。いったい、この作家はどれだけ時間を費やして書いたものか、と思わずにはいられません。星5つです。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|