私自身、精神科ではないが医師であり、うつで休職中である。過酷な労働環境が悪かったのか、私の心が折れたのが悪かったのか、いまだにわからない。その意味において、自責と他責の境界は曖昧である。それでも著者の論理からすると私は丁度、30代のうつにあてはまる。
うつで休職した人は、休職中、ずっと家に閉じこもっていなければいけないのだろうか。
最底辺から脱し、負のスパイラルから脱し、少しずつ明るさを取り戻そうと、趣味に接することで以前の自分を取り戻そうとする努力。古くからの友人達と談笑し、元気な頃の自分を取り戻そうとする努力。結局気晴らしにすらならないこともあるが、うつ患者はできる範囲で、努力している。しかし著者はそれら全ての努力を否定し、”甘え”と言い切る。
さんざこきおろされた感で苦笑してしまったが、文末で”30代のうつに対しての独特な治療体系を確立すべし”ととってつけたようにフォローされたのには参った。それが本音ならこのような扇情的なタイトルにはならないだろう。建前よりもあまりにも見えすぎるいち精神科医の本音を綴ったこの本が医師の本音として流布されると、患者は医師にすら本当のことを言えなくなるのでは?