『下流社会』で当てた三浦展の本。
あの本はそれなりに面白かったのだが、ちょっと前に『
「かまやつ女」の時代―女性格差社会の到来』を読んで、「こりゃひでぇ」と思っていた。
この人は何がしたいのかというと、お得意のマーケティングを使って得た「客観的な」データを武器に、世代論を一席ぶったあげく、「だから近頃の若いもんはダメなんだ!」と、説教することなのである。つまり、何を隠そう彼は「説教オヤジ」なのだ。
俗に言う説教オヤジというのはそもそも世代論論者である。「おれが若いときは、もうちっとキチッとしてたのによ〜」と飲んだくれて愚痴るあれは、要は世代論である。そういうオヤジさんであれば、「まあまあ、今日は飲んでくださいよ〜。飲んで日頃の嫌なことは忘れましょうよ〜」という具合に上手いこと受け流すことも出来るが、この三浦展は得意のマーケティングを駆使して説教をたれるオヤジなのである。表層的には根拠があり、さらに冷静な説教であるだけに鬱陶しい。
統計とかマーケティングをするのはいいだろう。そこからでた客観的なデータを分析して解釈するのもいいだろう。でもそこから論者の個人的な趣味趣向を押しつける方向に話が行っては、元も子もないのではないだろうか。最後の最後のその押しつけによって、本は台無しになる。
「現実には夢を実現するためにフリーターになる若者ではなく、夢を実現するためにフリーターをしている人に憧れてフリーターになる若者も多い」(30p)という指摘や、内田樹が『下流志向』で論じる遙か以前に、消費主体として子どもの頃から育てられていることの弊害について言及されていたりと、見るべき所もあるのだが、「歩き食べの研究」など、正直に言ってどうでもいい箇所もあるため、読まなくてもよかったかも。
ただ、あまりにも悪意がありすぎて笑えたのは、章の合間に挿入されるロスジェネ世代のインタビュー記事。ここまで不幸な人を集めるのは、さぞ大変だったでしょうに(笑)