原題は、そのものずばり、WORKです。
米国人の話が中心ですが、まったく違和感を感じない。
日本で生きていて働いて暮らしていても、米国人も日本人も生きる環境や
内面的な充足感のなさ、は(一般的に)大差ないんだなあ、と思いました。
本書は、働くことの意味と形態の劇的な変化、その中でのワークライフバランス
の考え方(仕事と余暇)の変化、人生の成功の意義、出世競争の意義、成功の
満足感の変貌、成功の基準、仕事の目的などなど、多岐にわたって平易な文書で
書かれています。一番いいのは、それらを考えるための、たくさんの視点、複眼思考
のヒントを与えてくれるところです。
雇われる、仕事を持つということから、技術と能力を市場に提供し、仕事を「する」に
変わった。もはや上司は存在せず、クライアントに才能、時間、労働を売っていると
認識すべき。頼るべきものは、自分の能力と人的ネットワークで、打ち込むべきは
仕事そのもの。仕事と余暇は分けてはならない。成功の定義は「肩書」「地位」
お仕着せの出世階段がない世界では、成果を計る絶対的な基準は存在しない、などなど。
キモは、種明かしをすると、実は、最後の「おわりに」に5つのサマリーとして
まとめられているので、要点は、そこを読めばすぐにわかる。しかし、本書の
真骨頂は、さまざま古今東西の薀蓄や名言、偉人や一般人のエピソードを読むこと
で、生きていくための哲学的なテーマを読者が脳内で深く掘り下げていくことに
なるところである。そのため、ポイントだけではなく、味わい深い本文をぜひ
読むことをお奨めします。訳はこなれていて大変読みやすい。