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仏教vs.倫理 (ちくま新書)
 
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仏教vs.倫理 (ちくま新書) [新書]

末木 文美士
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

常識として通用してきた倫理では片がつかない事件が続発している。社会のルールをこうして逸脱するのは一部のおかしな人の問題ととらえられがちだ。だが人間は、本来的に公共の秩序に収まらない何かを抱えて生きる存在である。本書は、“人間”の世界をはみ出す「他者」、そしてその極限にある「死者」との関わりを、仏教の視座から根源的に問いなおす試みだ。混迷する現代の倫理を超える新たな地平を示すと同時に、日本仏教の思想的成果を丹念に抽出し鍛えなおす、渾身の一冊。

内容(「MARC」データベースより)

「人間」の世界をはみ出す「他者」、そしてその極限にある「死者」との関わりを、仏教の視座から根源的に問いなおす。混迷する現代の倫理を超える新たな地平を示し、日本仏教の思想的成果を丹念に抽出し鍛えなおす、渾身の書。

登録情報

  • 新書: 252ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2006/02)
  • ISBN-10: 4480062874
  • ISBN-13: 978-4480062871
  • 発売日: 2006/02
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 生の中に現れる他者、死者とどう関わればいいのか。, 2006/2/17
By 
ビブリオン (東京都練馬区) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 仏教vs.倫理 (ちくま新書) (新書)
 著者の深層にある他者との関わりの感情が出発のようです。 自分以外の他者、その最たるものの死者。現代の出発であるアウシュビッツと広島の死者の群れ。それらの死者に導かれる理屈を超えた感情。他方、自己の中にいる他者。誰にも判らない心の痛み。あるいは自分を無視して暴走する心に棲む魔。この「他者」を、理論的に考える試みです。

 まず仏教史を方便として修行者個人が自分を律することで足りた原始仏教の「発句経」から、他者を信仰原理にまで組み込んだ大乗仏教の「法華経」に至る仏教説の流れを追い、他者が重要視されてきた歴史が明らかにされます。 

 また、倫理学からの考察で、現代の社会問題は言葉で語れる公共世界の倫理だけでは解決出来ず、公共界を超える他者、特に死者が生の中に入り込んでいる確認から出発する宗教への眼差しが不可避であるとされます。

 さらに、その死者と生者の関わり合いを言葉で考えた先駆者として、田辺元と渡辺哲夫の考えが詳しく紹介されています。

結論として死者との関わりが最重要事であることから、葬祭儀礼などで、それを日常的に行っている葬式仏教の存在意味が、再評価されています。

  僕も、お寺やお墓、仏壇の前だと、死んだ親と自然に話し合うことがあります。しかし寺もなく死んだ外国の知人には、語りかける場がありません。生前は親しかったのですが。著者の言うとおり確かに、死者との語らいの場は葬式仏教が提供しているなと思います。

題名にあるように著者は、常に2分法で問題を提示していきます。しかし縦の強い直線の論理は、なかなか見えません。ただ流れが見づらいだけでなく、途中で出てくる個々の問題を著者が独創的に考えていて、それに惹かれると本の筋を見失います。このため再読すると著者の考えがより判り安くなります。
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5つ星のうち 3.0 宗教は倫理と同じものではなく、宗教は倫理を包摂するものだ。(鈴木大拙書簡), 2010/8/15
レビュー対象商品: 仏教vs.倫理 (ちくま新書) (新書)
 「『人の間』で成り立つ倫理は今日壊滅状態にいたっている。生者の世界だけで考える倫理至上主義は間違いである。道徳倫理を越え、超・道徳倫理の立場に立たなければならない。『人の間』の倫理を逸脱し、それではとらえきれない他者・死者と直面し、われわれの存在を根源的に揺さぶられ、生者であるわれわれの弱さを徹底的に思い知らされたところから出発しなければならない。」(P224)

 超・道徳的倫理とは、即ち宗教である。しかしながら、現代において倫理がダメだからといって、だから宗教を無批判的に肯定するというのではない。形骸化した仏教を賦活して、真に死者を敬虔な存在としてとらえ、生者の驕りを諌める。個々の仏教者の著作を読むと、それなりにすばらしい経験や教えが開陳されているけれども、やはり一般読者、つまり凡夫からすると、理想を述べていることが多いのかもしれない。かつてあった美しい姿、あるいはもはやない姿を懐かしむ懐古趣味に流れているのが、現代仏教のあり様なのかも知れない。

 僧侶ではない仏教学者である末木氏が提示するのは、死者との関わりであろう。仏教の再生があるとすれば生きている者がいかに死者と向き合い、黙せる言葉をいかに真摯になって聞き取るかにかかっている。

 死者とは、生者から逸脱する意味では他者でもある。そうした他者とはまた仏でもあるという。しかしわれわれ生者はいつかは死者となるし、したがって仏にもなる。われわれの中には他者がおり、仏がおり、死者がいる。こうした関係性を突飛なものと一笑に付すのではなく、真面目に受け止めることが重要なのだ。

 葬式仏教と揶揄されている現代仏教だが、もちろん風化しつつある仏教を蘇生させようと励んでいる住職さんたちもいるが、とりわけ死者との関わりをもつのは、こうした葬式仏教であり、末木氏はその役割の重要性を指摘している。死者の声を聞くこと、そして対話すること、それは、いつかは生者も死者となって、また生者との語りを永遠に続けることになる。こうした自覚こそ仏教蘇生の一歩となるにちがいない。
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5つ星のうち 3.0 人間世界は、合理性だけでは理解できない, 2009/11/17
By 
カロン (神奈川県川崎市) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 仏教vs.倫理 (ちくま新書) (新書)
本書は、仏教思想が題材となっておりますが、内容的には、むしろ、現代思想の本というのが適切です。

著者は、「他者」と本当に理解し合い、関係を持つためには、いわゆる、「人と人との間」の関係を取り持つ「倫理的な考え」ではなく、「人の世界」を逸脱しうる可能性を持つ「宗教的な考え」を取り入れなければならない、とします。

そして、「宗教的な考え」の具体例として仏教思想を取り上げ、それらが、どのように「他者」との関係を規定しようとしたか、現代仏教はどのように「他者」と関係を取り持つべきかについて、説明されています。

ただ、本書では、個々の仏教思想の内容そのものについては、ある程度読者が理解しているという前提で議論が進んでいるので、仏教思想について基礎知識のない方がいきなり本書を読むのは、難しいかもしれません(私も難しかったです)。

同じ著者の、「仏典をよむ−死からはじまる仏教史」(新潮社)を先に読んだ方が、理解が深まるかもしれません。
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