岩波新書青版の渡辺照宏著『仏教』&『日本の仏教』が共に分かりやすく且つ面白く読めたので、本書もかなり期待して読んだ。が、その期待は外れた。まず、本書は「仏教」入門としては、記述がインド仏教に偏りすぎであり、仏教「入門」としては記述が専門的で分かりにくい。特に分量的に半分以上を占める第二部「インド仏教の思想史」は語義詮索の多さと羅列的な説明が延々と続き、読み進めるのが苦痛であった。一流学者が必ずしも、一流教師でない好例かもしれない。はっきり言って、入門書としてはお薦めできない。但し、第三部「各地の仏教」は30ページ足らずのスペースに、南伝仏教、中国、朝鮮、日本、チベット各地の仏教の歴史を実に簡潔にまとめてあるので、むしろこの部分は使えると感じた。