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矛盾をはらんだものであり、矛盾を受け入れることは、「どちらにも動けない」ことであり、「どちらにも動ける」ということでもある。この本は「ゴール」を求める人にはお勧めできない。しかし、「矛盾そのものを抱えながら生きていけばよい」と実感できることを「ゴール」と考えている人には、背中を後押ししてくれる本だと思う。
◆この本の味わい方
仏教の知識だけを読みとろうとするスタンスは捨ててしまって、
こんなことを念頭に置いてみてから本を手にとって下さい。
・キリスト教主導の近代科学、経済学などの価値観の行き詰まりと21世紀
・日本人が目を背けたがるナショナリズムと神仏習合のありよう
・お遍路、座禅体験、仏像見学などのひそやかなブーム
・日本人は無宗教と言われるけど…
…
どうなるんだろ、どうしてなんだろう?
その問いに対するヒントを
両氏がときには軽妙に、ときには真摯の語っているのを目の当たりにするでしょう。
もしも読者がそれらの解答への回路を仏教に少しでも見出せるたのなら、
河合中沢両氏ががこの本を通じて仏教の苗木を私たちに植樹しようとした
ささやかな植樹式は成功したと言えるのではないでしょうか。
◆中沢嫌いの方は
読むだけ時間の無駄となりますので読まない方がいいです。
彼に対する批判の語法は80年代から相も変わらず、
専門権威主義からの攻撃ばかりでうんざりしてしまいます。
些細な典拠違いなどをあげつらっては理解していないと叩くだけの
小役人的な批判精神がそもそもの学問的停滞を引き起こしていることに
どうして気付かないのでしょうか。
中沢氏の表現には確かに比喩は多いし、眉唾ものもあるのは確かですが、
氏の仕事の真骨頂は芸術的とも言える知の跳躍力にあると思います。
圧倒的な知と思索力に裏付けられたアクロバチックな跳躍のできない
人達が彼の足を引っ張るが如き批評をするのは見るに耐えません。
◆私の読後感
日本人の心性の核をほんの少しだけ
仏教に垣間見られたような気がします。
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