私の両親は60代後半で介護保険の対象となってもおかしくない年齢である。本書を通読して感じるのは、介護保険という仕組みは今の日本に不可欠なものであるが、両親、親族含めて介護保険の世話になって欲しくないということだ。
介護保険の概要を知る上で本書は必読の内容である。深く知りたければ、ホームページで調べ、更にプロに直接聞いてみるのが良いと思っている。
介護保険の大目的は自立支援と尊厳保持であるが、介護保険を使用する時点で、自立と尊厳は低下する可能性が高い。そういう意味で介護保険制度をベストな制度にすること事態が難しいわけだが、2006年の改正で自立と尊厳を高めようとする意気込みを感じる。
仕事で必要とされる場合、家族で本制度にお世話になる場合を除いて、本書を読まれる方はいないと思うが、「できるだけ介護」されないためにも、要支援程度で留める意識を持つためにも、本書の内容は大変参考になると思う。
介護関連の仕事をしている方と多数お会いするが、一人一人の人柄は素晴らしい方が多く、介護保険の将来はどれだけ人間的な優しさを持てるかどうかにかかっていると痛感する。この部分を維持し、高めた上で、現状のようによりよい制度に作り上げていけば、ドイツ以上の世界的なモデルになりうると感じる。
介護という概念は平和だからこそ出てきたとも思うので、今後戦争、飢饉、大災害等が世界中に発生した際に真価が問われる気がしてならない。