「ホームレスになるような人は、特殊な人や怠け者がなるのであって、自分には無縁の世界。」と通常は思います。 しかしこの本を読むと、普通の人、いやむしろ優秀な人やチャレンジ精神に溢れた人だって、運命の歯車が狂えばホームレスに転落することがありうる、つまり誰にでもホームレスになる危険性がひそんでいることが分かります。 その点作者は繰返し訴えており、それがこの本のテーマと理解できます。
一方で各章の最後に、太字で書かれた作者が強調したいまとめのような箇所があります。 それは各章で紹介されたホームレスの方がインタビュー中つぶやいた発言です。 そのつぶやきには、「それではホームレスになって当然では?」という、人生に対する甘い見通しが多々書かれています。 誰にでもホームレスになる危険性を読後に感じつつ、「え? この人にはそんな本音があったの? そりゃホームレスになるわ。」とも思います。
「平成不況下では誰もがホームレスになってもおかしくない時代である。」というのがこの本のテーマと思いますが、同時に「あなたのその甘さがいけない。 ホームレスになるべくしてなったんでしょ。」という作者の批判が聞こえてくるようです。 この点、テーマとして分裂しているのでは?と思いました。
ホームレスと同じ目線に立って取材しているのではなく、ちょっと高みに立っているとも思いました。 「そんなんだからホームレスになるんだよ」という視点が多分に混ざっているなら、それは通常人の感覚と同じであり、あえて本を出して訴えるほどではないはず。
とはいえ興味深く読めますし、今後の自分の人生への戒めになりますし良い本です。