この作品の主人公は、殺し屋でもヤクザでも腕っぷしの強い男でもなく、
古い百科事典を売り歩くしがない行商人です。
いかにも風間氏らしいキャラクターだなと思わされました。
しかも、こいつは酒場で喧嘩が始まると、巻き込まれない様にしようなんて背中を丸め、
厄介ごとが通り過ぎるのをじっと待つようなタイプで、そこが特徴的です。
でも、女を守らなければいけなくなった時、男は本当の男になります。
暴力団や警察を敵に回して逃げ回るのですが、それがまたかっこ良く切り抜けるというよりひたすら必死。
スタート地点に戻るような目にも遭うのですが、
その時の男の「とほほほ……」といった感じに脱力する姿がおかしかったです。
男の可愛さのようなものも魅力の一つで、人間味溢れるキャラが本当に素敵です。
選ばれた人間ではなく、どこにでもいる人間が覚悟をした時に見せる格好良さ。
そんなものが堪能できる一冊ではないでしょうか。