舞台はアルゼンチン。国鉄の民営化によって失業を余儀なくされた鉄道員の男たち。新しい職探しもうまくいかず、家族や友人との間にも溝が広がるばかり。職場を離れてバラバラの道を歩んでいたはずの彼らだったが、やがて思わぬ事件によって彼らの人生が再びひとつに交わろうとする…。
時系列を崩して構成された物語は、元鉄道員たちのひとりカルロスがテレビのトーク番組に出演しているところから始まります。なぜ彼がテレビに出ているのか、その理由が説明されないまま、このテレビ出演よりも前なのか後なのかも判別しがたい物語がその後展開していきます。
そして原題「Pro'xima salida」=「次の出口」が象徴するであろう、出口が見えない元鉄道員たちの、閉塞感いっぱいの、それほど起伏に富んだわけではない日常の様子が淡々と綴られていきます。
もう若くはない彼らの、こうしたくたびれた生活物語は、観る者の目をくぎ付けにして離さないといったほどの刺激的な要素には恵まれていません。観ている私も少々退屈な気分に襲われたことは否定できません。この監督にとっては初監督作品ということもあり、まだまだ演出には若さがあるようにも思います。
ですが終盤、ある事件が起こり、そのことによって元鉄道員たちの息子や娘たち3人が些細ではあるけれど決然としたある行動を起こす姿に、私はちょっぴり涙ぐんでしまったのです。
Se puede cambiar el destino? (運命は変えられるのか?)と自問しながら誇りを取り戻すために行動を起こす3人の若者たち。彼らに大きく力強いメッセージを託した映画として、私はこの作品を高く評価したいのです。
そして彼らと同じ行動を、日本の若者が、そしてもう若くはない私も、とることができるのか。そう自問したくなるほど普遍的なテーマをかかえた作品だと考えます。