シュリーマンは古典語の修得に先立ち、現代ギリシア語を学んだ。私の場合は、新約聖書ギリシア語で学習を始め、「イーリアス」を数章読んだ後、本書を手にとった。そして驚いた。同じギリシア語でありながら何とそれは異なる事か。(They are entirely different animals !)
古典語もやさしくはないけれど、読解中心であり、少なくとも読んでいる間文章は逃げない。他方会話は耳で聞き、話さなければならぬ。会話は大きな挑戦です。
本著はCD二枚つきの意欲作。いきなり耳慣らしのため、標準的な会話が Native speed で流れてきます。今は解らなくてよい、本書読了の頃には、解ってくると言う説明。それに希望を託して学習を続けます。
会話の内容は、類書とあまり変わりはないのでしょうが、感じるのは著者の文法への徹底したこだわりです。シャレた表紙、初心者向けのレイアウト、見かけは「やさしく、楽しい会話本」ながら、実は相当骨太の学習書です。一見何でもない「会話」を学んでいる間に、背後の現代ギリシア語の骨格が浮かび上がってくる。著者は何も言ってないけれど、そんな執筆意図を感じます。
本著を信じて、20回通読、CDを50回程聞けば、自信をもってアテネ空港に降り立つことができるのではないでしょうか。なお、文法解説は、荒木英世著「現代ギリシア語の入門」が補ってくれるでしょう。